東大寺境内にも植えられているソメイヨシノ(染井吉野)は、江戸末期から明治初期に、江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込)の造園師や植木職人達により当時「吉野桜(ヤマザクラの意)」として育成されていました。皆様もご周知の通り、後年、藤野寄命の調査によりヤマザクラとは異なる種の桜で、エドヒガン系のコマツオトメとオオシマザクラの交配で生まれた園芸品種であることが分かり、1900年(明治33年)「日本園芸雑誌」において「染井吉野」と命名されました。一般にサクラ(特にソメイヨシノ)の寿命は約60年余りと言われ、実生の桜に比べ、接木で育成された桜は年数が経つと幹に腐りが入り易く、幹の「空洞化」が進み、やがては、枯れてしまいます。また「桜切る馬鹿」と言われる様に、桜は、切り口より細菌が入りやすく、雨の浸入により、その部分から腐ることがあるので、不用意に桜の枝を切除することは桜本体を痛めることにつながります。通常、桜を剪定する場合は、枝を5〜10cm残して切取り、切口には「トップジンMペースト」などの防腐剤を塗っておくのですが、それでも樹勢が弱い桜は切り口から腐ってきます。
このように、桜は非常にデリケートな樹種と言えます。
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しかし、樹勢が強い桜は、老木になり幹の「空洞化」が進んでも、その空洞化部分から「自根」を出し始めます。丁度、「とり木」をしているのと同じ原理になります。
幹の空洞化部分には、幹の木くずが腐って体積しており、「自根」は、その腐った木くずを養分として成長し、細根は、やがて小指大に、そして親指大に太り、条件がよければ根はどんどんと成長を続けるのですが、そのような状態の桜には、出来るだけ早期に適切な処置が必要となります。
木もまた、人が怪我をした時の傷口と同じで自らの力で治ろうとしますが、残念ながら自然治癒力だけで完全に樹皮が空洞化部分を覆うことはありません。
反対に、「自根」が出たとは言え、空洞化により雨水の浸入や害虫の生息等が誘発され桜に良い状態とはとは言えません。このような桜に「バーク(切り枝を粉砕したもの)」と土を7対3の割合で調合したものをその空洞化部分へ丁寧に入れて行き、完全に穴を塞ぐ処置を施します。
処置後は、バークと土がこぼれないように養生します。
空洞化部分の「自根」は成長を助けられ、細根はやがて幹に変わり、元気なサクラへと成長して行きます。巷で桜の空洞化部分への水の浸入防止に「セメント」を流し込む処置をお見受けすることがありますが、セメントは何年何十年経っても、決して木に変わることはありません。空洞化への処置方として、これは大きな間違いです。ご注意下さい。
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