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盧舎那仏と桜  

古都奈良の文化財として世界文化遺産に登録され、そして「奈良の大仏」として知られる盧舎那仏(るしゃなぶつ)を本尊とする華厳宗大本山「東大寺」。その広大な境内には数々の大樹をはじめ、300本を超える桜が植えられています。樋口一匠園は、四季を通じそれら樹木の保全管理造園全般を仰せつかっております。

【column】  
300本を超える「東大寺」境内の桜が開花を迎えた時、次の開花に向けて、一年間の仕事が始まります。そしてまた、桜は、その美しい花で訪れる人々の心を癒してくれます。
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大仏殿(金堂)
 
土壌改良作業
樹木洗浄作業
 
境内景観
 
 

東大寺境内サクラの管理保全について

桜の保全管理は、日々桜を大切に愛情を込めて扱うことにはじまり、桜の健康を常に保つため、色々な桜の病気の予防や対策、また被害を最小限に食止めるために、早期の対応処置をすることが大切です。長年の経験と知識で「東大寺」境内の桜の保全管理に日夜取り組んでおります。その代表的な実例を以下にご紹介させて頂きます。

 
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保全作業(高圧洗浄)
 

幹の洗浄について

桜の幹全体に付いたウメノキゴケや、コウヤク病は発見次第、 高圧洗浄機で丁寧に洗浄します。また、病気予防や害虫被害防止の為、桜の幹を定期的に高圧洗浄機で洗浄し清潔に保ちます。

剪定について

桜を切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿と言う言葉がありますが、不要枝の剪定をしないと懐枝が枯れたり根元のひこばえを早く切らなければ、本体に養分が行かずひこばえが繁殖します。他の樹木のように幹に沿って切ると、桜は腐りが入るので、枝の剪定は5cm程残して切り、切り口には必ずトップジンMペーストを塗り、切り口が肉もりで塞がるようにします。
 

桜の根と肥料

元気のない桜の根元は、根の数が少なく、根に力も無く、なんとなく貧素です。この様な根には、若返りを促す為に古い根を少しずつ切り、年数をかけて新しい根を伸ばして行きます。また、周囲の古い土はバーク推肥と土を混ぜた用土と入れ替えた上、EB-αを散布肥料として使います。次に、肥料とバークを混ぜた用土を冬期には寒肥として、花後には御礼肥として使い、肥料を入れる場所を前年度の位置からずらしていく事により樹木周りの土を肥やし、土壌改良をして行きます。

踏圧被害

踏圧被害とは、観光客や鹿による踏圧で、土が固くしまり、樹木が衰弱していく被害です。固くしまった土壌には雨水がと通らず、水を保持する事が出来なくなり、その結果、根が呼吸できず、酸欠状態となります。対処法として、土壌改良剤EB-αと、バイオビリンを散布し、土を柔らかくし、土壌の保水力や通気性を改善します。東大寺では、60年以上の古いソメイヨシノが多く、この踏圧被害により枝が腐ったり幹が空洞化した桜を多く見ます。現在、踏圧被害の土壌改良と併せ、若い元気の良い桜の移植作業を推進しています。

 

テングス病対策

全国的にソメイヨシノの被害が多数確認されている桜の大敵テングス病は、タフリナ菌という、カビによって起こる伝染病です。感染力が強く、周りの健康な枝も病気になるので見つけ次第、枝は切除して切り口にトップジンMペーストを塗り殺菌処理を施します。また、切除した枝は直ちに焼却します。

コスカシバ(穿孔害虫)対策

桜や梅、桃などの幹や枝から水あめ状の樹液が出ています。
(若い桜には、あまり見かけないが古いソメイヨシノに多く見られます。)これはコスカシバと呼ばれている蛾の幼虫が中にいる為で、対処法は、水あめ状の樹液を取り除き、幹に開いた小さな穴をえぐりDDVPや殺虫剤原液をしみ込ませた綿でその穴を塞ぎ殺虫します。

 

空洞化の処置 (処置前 自根)

東大寺境内にも植えられているソメイヨシノ(染井吉野)は、江戸末期から明治初期に、江戸の染井村(現在の東京都豊島区駒込)の造園師や植木職人達により当時「吉野桜(ヤマザクラの意)」として育成されていました。皆様もご周知の通り、後年、藤野寄命の調査によりヤマザクラとは異なる種の桜で、エドヒガン系のコマツオトメとオオシマザクラの交配で生まれた園芸品種であることが分かり、1900年(明治33年)「日本園芸雑誌」において「染井吉野」と命名されました。一般にサクラ(特にソメイヨシノ)の寿命は約60年余りと言われ、実生の桜に比べ、接木で育成された桜は年数が経つと幹に腐りが入り易く、幹の「空洞化」が進み、やがては、枯れてしまいます。また「桜切る馬鹿」と言われる様に、桜は、切り口より細菌が入りやすく、雨の浸入により、その部分から腐ることがあるので、不用意に桜の枝を切除することは桜本体を痛めることにつながります。通常、桜を剪定する場合は、枝を5〜10cm残して切取り、切口には「トップジンMペースト」などの防腐剤を塗っておくのですが、それでも樹勢が弱い桜は切り口から腐ってきます。
このように、桜は非常にデリケートな樹種と言えます。

 
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空洞化の処置 (処置後)

しかし、樹勢が強い桜は、老木になり幹の「空洞化」が進んでも、その空洞化部分から「自根」を出し始めます。丁度、「とり木」をしているのと同じ原理になります。 幹の空洞化部分には、幹の木くずが腐って体積しており、「自根」は、その腐った木くずを養分として成長し、細根は、やがて小指大に、そして親指大に太り、条件がよければ根はどんどんと成長を続けるのですが、そのような状態の桜には、出来るだけ早期に適切な処置が必要となります。 木もまた、人が怪我をした時の傷口と同じで自らの力で治ろうとしますが、残念ながら自然治癒力だけで完全に樹皮が空洞化部分を覆うことはありません。 反対に、「自根」が出たとは言え、空洞化により雨水の浸入や害虫の生息等が誘発され桜に良い状態とはとは言えません。このような桜に「バーク(切り枝を粉砕したもの)」と土を7対3の割合で調合したものをその空洞化部分へ丁寧に入れて行き、完全に穴を塞ぐ処置を施します。 処置後は、バークと土がこぼれないように養生します。 空洞化部分の「自根」は成長を助けられ、細根はやがて幹に変わり、元気なサクラへと成長して行きます。巷で桜の空洞化部分への水の浸入防止に「セメント」を流し込む処置をお見受けすることがありますが、セメントは何年何十年経っても、決して木に変わることはありません。空洞化への処置方として、これは大きな間違いです。ご注意下さい。

 
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Landscape Gardener Higuchi Issyouen